チェーンの適用温度
チェーンは、推奨される適用温度を超える環境にさらされた場合、様々な問題が発生する可能性があります。
例えば、強度低下、摩損の増加、変形、潤滑性能の喪失、チェーン部品の潜在的な故障等です。
チェーンを高温下で使用する問題
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熱膨張変形によるサビ・変形、緩み、スプロケットの嵌合の問題。
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酸化層が形成されることでサビ・変形が発生し、摩損が加速します。
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潤滑油の高温による変質または炭化による潤滑の異常。
潤滑油の主な成分は炭化水素化合物のため、高温にさらされると重滑油が炭化して炭素が堆積し、潤滑機能が失われます(下図参照)。
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(炭素鋼チェーン)硬度低下により摩損が増加し、強度が低下します。
高温のアニール効果により、チェーン部品の硬度を低下させます。
硬度が低下すると、それに伴って耐摩耗性と強度も低下します。
チェーンを低温下で使用する問題
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(炭素鋼チェーン)低温脆弱性により疲労強度が低下します。
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潤滑油の低温・効果喪失または凝固によるサビ・変形。
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霜、雪の凍結によるサビ・変形。
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低温収縮はチェーンを縮ませ、チェーンの張り、スプロケットの嵌合の問題を招きます。
チェーンの推奨適用温度
推奨されるMCCチェーンの環境適用温度は以下のとおりです。
推奨適用温度下で使用しない場合、常にチェーンを交換しなければならなくなる可能性があります。
どうしても適用温度を超える状況でチェーンを使用しなければならない場合は、耐用年数を可能な限り伸ばすため、特殊な高(低)温オイルを使用する必要があります。
チェーン材質 |
環境適用温度 |
最低及び最高温度 (許容荷重が下がる場合があることに注意) |
炭素鋼チェーン |
-10°C ~ 150°C |
最低温度:-40℃ |
ステンレスチェーン |
適用環境温度を超えた状態で使用すると、炭素鋼チェーンとステンレスチェーンの許容荷重もそれに伴って低下します。
また炭素鋼チェーンの低下の割合は、チェーンの寸法によって影響が異なります。
炭素鋼チェーンの温度と許容荷重の関係
ANSI 60以下 |
ANSI 80以上 |
2ピッチチェーン |
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- 40°C以下 |
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-30°C ~ -40°C |
使用不可 |
25% |
使用不可 |
-20°C ~ -30°C |
25% |
33% |
25% |
-10°C ~ -20°C |
33% |
50% |
33% |
-10°C ~ +150°C |
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150°C ~ 200°C |
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200°C ~ 250°C |
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250℃を上回る |
注:高温下では必ず高温用潤滑油を使用しなければなりません