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チェーンの主な試験について


生産されるチェーンが規格に適合し、高い品質を確保できるよう、MCCチェーンは様々な検査や試験を経ています。

以下に代表的な試験とその目的についてご紹介します。


1. 嵌合力試験

この試験は「外プレートとピン」、「内プレートとブッシュ」の部品の締まりばめの程度を試験するものです。
嵌合力が弱いと、外プレートとピン、または内プレートとブッシュが分離しやすくなり、さらには脱落の原因となります。

さらに詳しく:

チェーンの嵌合力テスト

2. チェーンの長さの測定

チェーンが長すぎる、または短すぎる場合、スプロケットと噛み合わなかったり、異音が発生したりする原因となります。そのためチェーンアセンブリ後のピッチを測定し、正確性を確認します。例えば、ANSI 80チェーンの各ピッチの長さは25.4mmですが、製品には公差があり、製造後のプレートのピッチ全てが正確に25.4mmになるとは限りません。そのため、チェーンにアセンブリした後で、各プレートのピッチに生じた誤差によりチェーンの長さが変動する場合があります。長さを測定することで、アセンブリ後のピッチが基準の公差内にあることを確認します。

3. チェーンのプレストレス

アセンブリしたチェーンに、引張強度の1/3の引張力でプレストレスを与えます。
プレストレスを与えることにより、チェーンの各部品がより緊密に嵌合します。また機械で使用する際の初期摩耗を低減し、チェーンの疲労強度を高めることができます。

4 塩水噴霧試験

ASME B117の基準に基づき、5%の濃度の塩水を試験部品に噴霧し、単位時間での錆の発生状況により、試験部品の防錆性を判定します。
通常は、表面処理チェーン、ステンレスチェーン、防錆油などの防錆性のテストに用いられます。

さらに詳しく:

防錆チェーンの試験基準:塩水噴霧試験

防錆チェーンの比較:最適なチェーンを見つける

5. 耐摩耗試験

チェーンの耐摩耗性、即ち耐久性を試験します。
現在はチェーンの耐摩耗試験に関する国際基準がありません。唯一、JCAS(日本クレーン協会)がモーターサイクル用チェーンの耐摩耗試験条件を規定しており、MCCの耐摩耗試験機もこの基準を参考に設計されています。
各メーカーの試験方法は必ずしも同じではないため、異なるメーカーの試験結果を単純に比較することはできません。同じ方法で試験された結果であれば、比較して参考にする価値があると言えます。

さらに詳しく:

ローラーチェーンの耐摩耗試験方法

6. 引張強度試験

チェーンの引張強度が国際基準に適合するかを試験します。
チェーンの引張強度が国際基準に満たない場合は製造プロセスに問題があることを意味します。
部品の熱処理の不良やアセンブリでのパーツ漏れなどは、いずれもチェーンの引張強度を下げる原因となります。
引張強度の低いチェーンは、使用時に破断するおそれがあります。

さらに詳しく:

ローラーチェーン「引張試験」の基準、試験方法と応用

7. 疲労強度試験

この試験は、チェーンが恒久的に破断しない引張荷重の程度を探ることを意図しています。
通常のチェーン(ステンレスを含まない)の場合、疲労強度は最大許容荷重と同じです。



引張強度と疲労強度の違いについて

引張強度は1回でチェーンを破断させることで得られる、チェーンの品質の参考となる数値の一つです。但し、これは最も重要な数値とは言えません。
疲労強度は、チェーンの実際の使用状況に最も近い試験方法であり、チェーンの品質の優劣を判断するための最も重要な数値です。
引張強度と疲労強度はある程度の関連はあるものの、絶対的な関係はありません。同じ規格のチェーンで疲労強度が高い場合でも、引張強度は高くない(悪くはない)場合があります。引張強度が高ければ疲労強度も高いとは限りませんが(逆に低い場合もある)、引張強度が低い場合、疲労強度も低くなります。疲労強度の試験は、設備のコストが高く、試験に手間がかかるなど容易ではないため、一般の小規模なチェーン工場では引張強度を6~10で割った数値を疲労強度としています。



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