工業用ローラーチェーン潤滑剤は、鉱物油または合成油から作られており、それぞれ異なる性能特性を持っています。潤滑剤にはドライタイプ、ウェットタイプ、ワックスタイプがあり、使用環境、負荷、必要な粘度に応じて選定する必要があります。
ローラーチェーン潤滑剤
工業用ローラーチェーン潤滑剤(ローラーチェーンルーブ)は、主に鉱物油または合成油を基に作られています。鉱物油はコストが低く、一般的な用途において安定した性能を発揮します。一方、合成油は価格が高いものの、高温や重負荷の環境下で優れた性能を持ち、酸化に強く、長寿命です。
一般的な合成油にはエステル系およびPAO(ポリαオレフィン)が含まれます。エステルは浸透力が強く、油膜の強度が高く、優れた耐摩耗性を備えており、過酷な条件下に最適です。PAOはコスト面で優れていますが、添加剤との相溶性が低く、潤滑性能もやや劣ります。

潤滑剤タイプ
ローラーチェーン用の潤滑剤には、ドライタイプ、ウェットタイプ、ワックスタイプがあります。ドライ潤滑剤は揮発性が高く、クリーンで低摩擦の被膜を残します。乾燥環境には適していますが、頻繁な再塗布が必要です。ウェット潤滑剤は粘度が高く、防錆性能に優れており、湿潤や泥の多い環境に適していますが、汚れを引き寄せやすいです。ワックス潤滑剤は耐水性に優れ、チェーンを清潔に保ちますが、低温では硬化しやすく、塗布が難しくなります。
ローラーチェーン潤滑剤 | 特色 | 適用環境 | 欠点 |
ドライ | 低摩擦 | 乾燥環境 | 頻繁な再塗布が必要 |
ウェット | 防錆性に優れ | 湿潤や泥の多い環境 | 汚れを引き寄せやすい |
ワックス | 耐水性に優れ | 粉塵の多い環境 | 低温では硬化しやすく、塗布が難しい |
また、粘度も重要な要素です。通常の使用には低粘度のオイルが適していますが、重負荷または高温・湿潤環境では、高粘度のオイルがより優れた保護効果を発揮します。

食品関連の産業では、食品グレードのローラーチェーン潤滑剤が必須です。NSF H1などの認証を受けた製品は、耐熱性・耐腐食性に優れ、製品への汚染リスクがありません。なお、通常の食用油は衛生上の問題や性能不足から使用に適していません。

結論
まとめると、ローラーチェーン潤滑剤を選ぶ際には、オイルの種類、潤滑剤のタイプ、粘度、および使用環境に基づいて選定が必要です。特に食品加工業では、必ず認証済みの食品グレード潤滑剤をご使用ください。