ローラーチェーンの長さの測定
ローラーチェーンのピッチはチェーンで最も重要なサイズです。
特定の長さのチェーンを測定することによりピッチを測定し、ピッチが基準に適合することを確保します。
以下のいくつかの理由から、ローラーチェーンの長さの検証は重要であると言えます。
1. スプロケットの組み合わせと作動
ローラーチェーンは、特定のシステムでスプロケットとの組み合わせにおいて最適な方式で作動することが確保されるよう設計されます。
チェーンの長さの検証により、チェーンが所定の応用に適したサイズとなることを確保できます。
チェーンが長すぎる、または短すぎる場合、スプロケットとの正確な噛合ができない場合があり、性能不良、摩損の増加を引き起こすとともに、チェーンまたはその他の部品を破損させる可能性があります。
2. 張力の制御
ローラーチェーンは適切な張力によって初めて正常な運転が可能となります。
ローラーチェーンが長すぎる、または短すぎる場合、張力の不均衡または不足を引き起こし、これによりローラーチェーンの高負荷における緩み、噛合のはずれ、または過剰な摩擦、振動を発生させ、それによりエネルギーの消耗、摩損および破損のリスクが高まります。
3. ライフサイクルと耐久性
ローラーチェーンの長さは、その寿命と耐久性と密接に関係します。
チェーンが短すぎる場合、各ローラーが受ける負荷と応力がより大きくなり、それによりローラーチェーンが摩損または破断しやすくなります。
一方、ローラーチェーンが長すぎる場合、ローラーの間の摩擦と摩損が増加し、同様に寿命の低下を招きます。
ローラーチェーンの長さの正確性は、所定の使用期間内におけるローラーチェーンの確実な作動を確保するのに有益となります。
4. システムの精度と位置決め
一部の応用において、ローラーチェーンは機械部品の正確な位置決めを確保するのに用いられます。
ローラーチェーンの長さが正確でなければ、位置決めのずれや不正確さを招く場合があり、これが機械システム全体の精度と性能に影響を及ぼします。
長さ測定の規範
国際的な規範でローラーチェーンの長さの測定に対して基準を制定しています。
チェーンの長さの測定は、プレストレッチの後、潤滑の前に行わなければなりません。
標準的な測定長さは、チェーンの型番に応じて以下の通り2種類に規定されます:
(1) 60/12B以下(60/12Bを含む)のチェーンの標準測定長さは610mm(最小値)です。
(2) (1)
80/16B以下(80/16Bを含む)のチェーンの標準測定長さは1220mm(最小値)です。
また測定長さの公差も、チェーンの付属品の有無によって以下のように分かれます:
(1)付属品のないチェーン:長さの公差はチェーンの公称長さの+0.15 -0%であること。
(2)付属品のあるチェーン:長さの公差はチェーンの公称長さの+0.30 -0%であること。
長さの測定に必要な荷重
プレートの間には間隙があるため、長さの測定の際は、正確な測定のため一端に荷重をかけて間隙をなくす必要があります。
かける荷重はチェーンの標準引張力のおよそ100分の1と規定されています。いくつかの型番を例として以下に列記します(ISO 606標準に基づく):
鏈條型號 |
拉力標準(min.) |
測長施予荷重 |
40 |
13.9 kN |
120 N |
50 |
21.8 kN |
200 N |
60 |
31.3 kN |
280 N |
80 |
55.6 kN |
500 N |
08B |
17.8 kN |
120 N |
10B |
22.2 kN |
200 N |
12B |
28.9 kN |
280 N |
16B |
60 kN |
500 N |
ローラーチェーンの長さの検証は、機械システムの正確な作動、および寿命と耐久性の向上を確保するとともに、正確な位置付けを確保するためのものです。
機械システムの正常な作動と信頼性を確保するためには、ローラーチェーンの長さが設計の要件に適合していることが必要となります。